カテゴリー: 風土産業

  • 羽山信宏のつれづれなる風土産業記 その1

    風土産業への思い

     光があり、風が野山を吹きわたり、土のにおい、清らかな水、トンボやカエル、そして子供や知の笑い声、、、すべての生命を育む地球。そこには、田畑を耕し土からの恵みをいただく、木を育て山からの恵みをいただく、川や海から多くの恵みがある。それは、地球に生命が誕生してから、世代を越えて、あらゆる地域で繰り返されてきた地球の輪廻に根差した営みであり、人間だれしもが懐かしく思う風景である。そのような風景を人が懐かしいと思う心は同じであろうが、しかし同じ風景は一つもない。人々はその独特な風景や地域を愛し、その中で生活を営んできた。人々が生活を営むに十分な“エネルギー”を地球からいただき、そして自然・地球にお返ししてきた(地球の輪廻)。この“エネルギー”と人の営みが綜合されて、その地域特有の文化が生まれ、形成され、伝承されている。

    今、感じる違和感

     一方で、時の流れとともに、人間の価値観も少しづつ変化し、今の時代は、効率が一番。それを追求した結果、人間にとって便利なものを安く・大量に生産し、富を追求することが「正」とされるようになっているように見える。果たしてそれだけでよいのであろうか。物の持つ便利さという価値だけに注目していいのであろうか。便利なものを作り出すことに携わっていることに満足していいのであろうか。人間らしい豊かさの本質はそれらとは別のところにあるのではなかろうか。人間だれしもが懐かしく思う風景やその地域での営みや文化を温めなおしてみたいと感じている人も多いのではなかろうか。

     しかし、外から眺めて懐かしさを感じるだけでは何も生まれてこない。自然の中、地域に自分の足で立ち、風を感じ、土のにおいをかぐことで、地球の持つ”エネルギー“や自然の”力“と自分が共に生きていることを、「自分ごと」として実感できる。そして、その実感が重なり合うことで、人々の間に共感が生まれ、その共感が人々のおかれている状況を変革していく力となる。そこでは、上下関係はなく、答えを持っている・知っている人が偉いわけでもなく、おかれた状況を一人一人が真剣に考え、語り合うことで、フラットな関係ができ、共感と共に共同体が構築される。

     風土産業へ

     農業、林業、漁業、工業、商業、それぞれにかかわる人々が、それぞれの役割を「効率」に向けて果たすのではなく、地球の“エネルギー”や自然の“力”とのかかわり、さらには、これまでの産業の歴史(繁栄だけでなく衰退や災害)・文化(お祭りや風習、気質)も含めて、より一層深く原理原則(機能)のつながりとして俯瞰的に理解し、わかったこととわからないことを明確にし、謙虚に受け止めることが大切である。わからないことの解明に挑戦し続け(実験・研究の役割)新たな理解を得ることで、新しい技術を獲得し、それをビジネスの核として再構築し社会に実装する。ここに、これまでの常識の殻を破った新たな価値を生み出せる可能性が秘められている。

     美しい風景の裏に秘められている地球の輪廻の理(ことわり)を、自分ごと化して再発見し、そこで生活を営む人々と思いを重ね・刺激しあい、共に育つことで、単にエネルギーが足し合わされるだけでなく、人々の持つエネルギーがお互いに増幅されるような状況を生み出し(共育)、新しい価値を創造すること、それが風土産業であると考える。

  • 各地での活動

    各地での活動

    研究員が各地を巡って視察・活動をします。

    視察・活動報告を投稿予定です。

  • 代表理事挨拶

    代表理事挨拶

    一般社団法人 風土産業研究所のホームページをご覧いただき,誠にありがとうございます。代表理事の榊純一です。

    現在,日本の多くの企業や行政機関は,従来の成功体験の延長線上で物事を考えています。もちろん改善は重要ですが,伸びしろの限られた「連続的な改良」だけでは,人口減少や地域衰退といった構造的課題を乗り越えることはできません。

    今,求められているのは,「連続」から「非連続」への発想転換です。特に地方創生において,私は長年,大きな違和感を抱いてきました。地方政策の多くは,豊富な人材や情報が集まる中央で立案されています。しかし,地方には地方特有の風土,歴史,人間関係,産業構造があります。その土地を深く知らずに作られた政策は,どうしても画一的になりがちです。

    一方で,地方の現場では,人口減少以上に深刻な問題があります。それは,自ら未来を構想し,企画し,実行する力が不足していることです。地域には熱意ある人材が存在していても,限られたリソースの中で孤立し,挑戦する機会を持てない場合が少なくありません。

    だからこそ私は,その土地を本当に知る人,その土地に愛着を持つ人,その土地で挑戦したい人たちが,少数精鋭で地域に根差した産業を育てていくことが重要だと考えています。

    私たちが大切にしている「風土」とは,単なる自然環境ではありません。そこに暮らす人々の価値観,歴史,文化,人間関係,さらには言葉にならない「暗黙知」まで含めた,その土地固有の力です。

    真に豊かな社会とは,所得やインフラ整備だけで測れるものではありません。便利さや効率性だけでは得られない,人と人とのつながり,地域への誇り,自ら挑戦できる実感。そうした価値の重要性に,多くの人がようやく気づき始めています。

    私は,この新しい豊かさのあり方こそ,地方から日本全体へ発信できる知恵だと信じています。

    風土産業研究所は,地域に眠る「暗黙知」や人のつながりを見える化し,その土地ならではの価値を持つ「風土産業」の創出に挑戦してまいります。また,挑戦する人を支え,失敗を許容し,次の挑戦につなげる風土を育てることも,私たちの大切な使命です。挑戦した結果に対して「It’s OK(大丈夫、次に活かそう)」と言い合える雰囲気や環境を整え,「まずやってみる」ことに価値があることを伝えていきたいと思います。

    地方には,まだ眠っている力があります。

    その土地に根差した人々の知恵と挑戦によって,新しい時代の豊かさを共に創り出していきたいと考えております。

    今後とも,皆様のご理解とご支援を賜りますよう,よろしくお願い申し上げます。

    一般社団法人 風土産業研究所

    代表理事 榊 純一